Posterous theme by Cory Watilo

ドラクエとウィザードリイ、iPhone と Android

SIM free の iPhone4 を注文した。


はじめて買ってもらったファミコンのゲームはウィザードリイだった。 僕はドラクエが欲しかったのに、父はウィザードリイを買ってきたのだ。 たぶんドラクエは売り切れていたのだろう。

文字通り子供だった僕はとても不満だった。 僕がやりたかったのはドラクエだったし、 小学生にとってウィザードリイはわけのわからないゲームだった。 画面に表示されるモンスターの絵は何を描こうとしているのかわからなかったし、 プレイヤーはすぐに死んでしまった。灰になってしまうこともあった。 理不尽極まりなかった。ウェブもなかったらカンニングもできない。 実のところ僕は謎解きがあることすら理解していなかった。

それでも他にすることがなかったから、 気が向いた時にダンジョンに潜っては死んでを繰り返していた。 たぶん偶然に助けられて 1 年か 2 年あとにクリアした気がする。 エレベーターで 4 階(だっけ?)までもぐってレベルを上げ、 あとは魔法で最後のフロアにとびこんでボスを倒すというような、 ストーリーも謎解きもない遊び方だったが、それなりに満足していた。


去年、長年の iPod ユーザである母に iPod Touch を渡してみたところ気に入ったらしく、いつも使っているという。 仕事で使う時以外にあまり PC を起動しなくなったと言っていた。 ウェブ、Map、Twitter あたりを特によく使っているようだ。 Twitter (Echophon) は僕が試しにさわらせてみたもので、 たぶん自分でアプリケーションをインストールはしていないと思う。

このあいだ会った母は iPod touch を持ち出したいという。 iPod touch なんて実質持ち出せない iPhone なんだからもっともな話ではある。 ソフトバンクで買えると言ってみたが、電波が弱いのは嫌だとか。 Map をみながら田舎のまちを歩いたり、 山の上からみえる景色を Map と照らし合わせたいそうだ。 ドコモの電波が欲しくなる気持はわかる。 仕方ないので b-moble の SIM でも差して渡そうかと思い SIM フリー版の iPhone を買うことにした。

できるものなら iPhone じゃなくて Android を渡したい、 というくらいの愛社精神はある。Xperia は手元に一台余っているし、 世間では Galaxy も売っている。Map を見るのに Galaxy Tab は悪くないとおもう。 僕がちょっとしたツールを作って渡すことも、 Android ならできるけれど iPhone ではできない。 あいにく余暇に Objective-C をさわる信仰心はない。

でもこのあいだ Xperia を渡して様子を見たらだいぶ戸惑っていた。使えそうもない。 これでは Galaxy Tab を使え、というのも少し不安だ。 使い倒せる人にとって Android は良いおもちゃだけれど、素人にはまだ敷居が高いのかもしれない。 バックグランドでアプリを殺すツールを設定しろ、なんて言えない。


父の買ってくれたウィザードリイを思いだした。 僕は最終的にウィザードリイも悪くないと思っていた。 わけのわからなかったゲームを試行錯誤の末にクリアした達成感もあった。

でも母にとっての Android が僕にとっての ウィザードリイになれると期待するには色々と荷が重い。 僕は小学生で、暇をもてあましたおたく予備軍だった。 少しくらいわけのわからない方がよい暇潰し、パズルになった。

母が同じように Android を遊べるとは考えにくい。 強力だが複雑な計算機に慣れるには年をとりすぎている。

PC が隆盛を誇っていたころ、 母には道具に習熟するだけの体力があった。 Adobe 製品を使って教材をつくったり Office 製品で成績を管理したりしていた。

最近は何か新しいソフトウェアの道具、 たとえばウェブサイトに習熟するのは負担なようだ。 少しテクニカルな概念を理解しないといけないような 説明をしても、以前より理解に苦しんでいるのがわかる。 説明した話も間があくと忘れてしまう。 たとえば Twitter の reply は使えても、 retweet が何かはいまいちわかってないとおもう。

だから適当な Android 電話を渡しても慣れる前に疲れて 放置してしまうかもしれない。 電話が無駄になるのはさておき、 そのせいで余計な無力感みたいなものを感じてほしくない。 計算機相手に打ちのめされるのは暇なおたくとプロラマだけでいい。 ただでさえ年寄りは無力感を感じて落ち込みやすいというのに。

もう少し待てと言うこともできたが、それも気がひけた。 今の開発速度をみる限り、たぶん 1 年くらい待てば Android のややこしさは iOS を超えないにせよ 気にならないところまで辿りつくだろう。 でも母は会うたびに少しずつ衰えているのがわかる。 体力のあるうちに定年生活を楽しんでほしいなら、とても 1 年待てとは言えない。

などと考えてしぶしぶ iPhone4 を注文したのだった。 儒教精神と愛社精神が両立しないのはくやしいけれど、 Android の使い方をレクチャーしきるほどの 愛社精神も儒教精神もない半端者は がっかりすることでペナルティをうけるのでありますな。

僕が女の子にスマホ族をプレゼントする機会に恵まれたなら、 相手が何を言おうと迷わず Galaxy Tab を渡すだろうからね。たぶん。